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北海道生産性本部について

生産性運動とは

北海道生産性本部20周年宣言(昭和55年)

要綱・宣言集 北海道生産性本部20周年宣言
1980年(昭和55年)

北海道生産性本部20周年
宣言(昭和55年)

北海道における生産性運動は、昭和35年、北海道生産性本部の設立を契機に、本格的に開始され、ここに20年の歳月が経過した。この間、わが国経済は急速な技術革新を梃子に驚異的な高度成長を持続し、生活水準の大幅な向上を実現した。

北海道経済は、60年代には重化学工業の不足、エネルギー転換にともなう石炭産業の衰退などにより地盤の低下がみられたが、70年代に入ると人口流出もとまり、道民所得のシェアーの上昇をみるなど、将来の北海道経済の発展にとって望ましいと考えられる兆候も出てきた。

この過程で生産性運動は、近代的経営管理技術や制度の導入・普及、相互信頼にもとづいた労使関係の確立、絶えざる変化に適応していく精神風土の培養などを通じて、産業社会の発展と活力の維持に少なからぬ役割をはたしてきた。

しかしながら、80年代の経済は、従来にも増して厳しくかつ複雑な環境の展開が予想される。資源ナショナリズムの台頭による自然資源、なかでも石油の供給制約の強まりと価格の上昇は、不透明・不安定感を倍加し、投資決定の遅れ、設備の老朽化、生産性の鈍化、供給力の不足などにより、経済成長の停滞と物価の上昇を招くことが懸念される。

また、物質的豊かさを実現した成熟社会における国民の関心は、急速に生活の質・精神的欲求の充足に向けられる。価値観は多様化し、行動は個性化し、労働の社会的意義への認識は薄れていく。

個と集団の利害対立をめぐる葛藤、勤労意欲の減退、適正な競争の拒否など、社会的活力低下の危険性も潜んでいる。加えて、国際社会のなかで比重を高めているわが国が、輸出強化のあまり貿易摩擦を生じ、各国間の相互依存関係の調和をみだし、国際経済に混乱を生ぜせしめるおそれなしとしない。

一方、高齢化の急速な進行は、高齢者への社会保障の充実、雇用機会の提供、生きがいの創造、費用負担の適正化など、豊かな老後へ多くの困難をはらんでいる。その上、北海道においては、高い財政依存率、低い資本蓄積、技術水準の低位など、地域経済の自立にとって早急な解決を迫られる課題も少なからず存在する。

このような新たなる環境のなかで、生産性運動の基本任務である安定成長の実現と福祉の質的充実を達成していくには、産業人の不断の挑戦と長期にわたる努力を必要とする。それは、収益性と社会性を統合し、人間生存のための生産性という自覚と思想を堅持した生産性意思によって、はじめて可能となる。

そこで、80年代を北海道経済の転換の時代とすべく、生産性運動の目標を次のごとく定め、決意を新たにその達成を期そうとするものである。

  • 1. 省資源・省エネルギー、新エネルギーへの転換をはじめ、産業の高付加価値化をすすめ北海道経済の自立的発展をめざす。
  • 2. 経営管理システムの抜本的点検を行い、能力開発主義を基調とした経営の活性化を図る。
  • 3. 人間労働の持つ意義を再確認し、精神の健康に十分留意しつつ、生涯労働生活の安定を 期する。
  • 4. 地域特性を生かした技術開発・製品開発を重点的に推進していく体制づくりに努める。
  • 5. 労使の相互信頼関係を維持し、労使協議制の拡大・深化を促進する。
  • 6. 国際連帯の精神にたち、国際生産性交流を活発化する。

昭和55年11月13日

北海道生産性本部